イル・ポスティーノ | 桜さんの映画鑑賞日記

イル・ポスティーノ

イル・ポスティーノ  1994 イタリア/フランス

IL POSTINO
LE FACTEUR[仏]

THE POSTMAN[米]



イル ポスティーノ (ディズニー ライブアクション タイトル)
¥1,286


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監督: マイケル・ラドフォード
製作: マリオ・チェッキ・ゴーリ
ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
ガエタノ・ダニエレ
原作: アントニオ・スカルメタ
脚本: アンナ・パヴィニャーノ
マイケル・ラドフォード
フリオ・スカルペッリ
ジャコモ・スカルペッリ
マッシモ・トロイージ
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ
音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ
 
出演: マッシモ・トロイージ
フィリップ・ノワレ
マリア・グラツィア・クチノッタ
リンダ・モレッティ
アンナ・ボナルート

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 実在した詩人パブロ・ネルーダに材を取ったA・スカルメタの原作を基に、イタリアの喜劇俳優M・トロイージが病に蝕まれた体で映画化にこぎつけた執念の作品。
1950年代のイタリアを舞台に、ひとりの素朴な青年の成長をあたたかい眼差しで描き出している。
 ナポリの沖合いに浮かぶ小さな島。
そこへチリからイタリアに亡命してきた詩人パブロ・ネルーダが滞在する事になった。
老いた父と暮らし、漁師になるのを望んでいない青年マリオは、世界中から送られてくるパブロへの郵便を届けるためだけの配達人の職につく。
配達を続ける内に、年の差も越えて次第に友情を育んでいく二人。
詩の素晴らしさを知ったマリオは、詩の隠喩についても教わる。
やがてマリオは食堂で働くベアトリーチェという娘に一目惚れし、彼女に詩を送ろうとするのだが……。
 異邦人との触れ合いによって、自分の故郷をもう一度見つめ直す主人公の姿が静かな感動を呼ぶ。
逮捕命令が撤回されてパブロはやがて母国へと帰っていくが、それ以降の展開こそが重要な物語だ。
パブロに届けようとマリオが島の様々な音を集めていくシーンなど一番の見せ場と言ってもいいだろう(もちろん美しい撮影と情緒豊かな音楽も忘れてはならない)。
友を、女を、故郷を愛する事の素晴らしさが淡々とした演出の根底に確かに息づいている。
P・ノワレの笑顔とそれに負けないくらいのM・トロイージの表情。
惜しくも彼はこの作品のクランクアップ直後に他界してしまったが、ここにその足跡はしかと刻まれた。

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アカデミー賞
音楽賞(オリジナルドラマ) ルイス・エンリケス・バカロフ
英国アカデミー賞
監督賞(デヴィッド・リーン賞) マイケル・ラドフォード
外国語映画賞
作曲賞(アンソニー・アスクィス映画音楽賞) ルイス・エンリケス・バカロフ
放送映画批評家協会賞
外国語映画賞
日本アカデミー賞
外国作品賞


★★★★★★★★☆☆

波 いいお話です・・

もうね、

はまる人は号泣でだめな人はなんのことやらですよ。

私は自分でもだるい文芸物がはまるときがあるなぁと思うのですが(爆)

セリフが少なかろうが歌うような言い回しであろうが風景と音楽の作品であろうが、

ニュー・シネマ・パラダイス」や「リバーランズ・スルーイット」の世界がいとおしい・・

「砂の器」や「天城越え」が泣ける・・

この作品は見てる途中からもうウルウルきてて、

ラスト付近では号泣でした(苦笑)

郷愁、帰らないもの、変わらないもの、どうにもならないもの・・

私は感動した作品は何度見ても同じ場面付近でまた感動できる、

大変お得なパブロフの犬の癖を持っております。

まあそれが当てはまらず泣かされた作品は「アルマゲドン」「ライフ・イズ・ビューティフル」あたりか。

あそこらはもうあざとさがわかっているからたぶんもう泣けない(爆)

けれどもこの作品は大事にしたい大事に味わいたい何か、

「ニュー・シネマ・パラダイス」や「リバーランズ・スルーイット」と同じだるい味わいがあるのです。

わかる人はわかってもらえると思う例えかな?


メモニュー・シネマ・パラダイス  この映写技師のじいちゃんが詩人と同じ俳優なのですよ。

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メモリバー・ランズ・スルー・イット  映像がきれい・・


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本当は最初は7点にしようかなとも思ったのです。

主演俳優がこのあと他界したとはいっても、

あまりに濃い(苦笑)のでちょっとと・・

でもそれからもじんわりときいてきて、

やっぱりこの作品はそんなくだらない(顔がどうのとか)理由で採点できない、

きちんと素直に認めようと残そうと思ったわけです。

しかし・・抑揚が少ないので満点にはできないのが残念ですが・・


まずお話がいいんですね。

そこに住んでいない私たちにとってはその田舎の島はとても魅力的です。

しかし出だしは生活感溢れこの主人公は美しい島に居ながらも空しいようです。

いわばイタリアの過疎地なんですが、

住んでいる人にはわからない美しさってあると思います。

チリから亡命してきた詩人はそれをわかっていた。

最初はくすぐったく感じるほど流れるような詩(隠喩)の世界。

地元の漁師のような(爆)素朴すぎる主人公との違和感。

この違和感とつたない淡々とした恋愛。

えっ、何でこの兄ちゃんが主役なの?

郵便屋さんをもっと若い青年にすればいいのに・・

とか思ったのですが・・

その違和感こそこの映画の核なんです。

美しい悲恋ものとして描かれているわけではなく、

本当にこの作品の言いたかったこと・・


それはいろんな受け取り方があるとは思います。

過疎地に現れた世界的に有名な詩人。

今まで逃げたかった現実の暮らしが、

夢のような素敵な島に住んでいたのだと知る。

それは教えてくれた人が去った後自分で読んだ詩。

いわばそこにいての自分探しの旅だったわけです。


人間は文芸に触れ言葉を覚え政治を知る・・

詩人に出会っていなければ普通に漁師の息子であった郵便屋さん。

しかしどちらが幸せかと聞かれればそれは誰もわからない。

詩人から便りがなく自分からお礼の言葉を送ろうとする。

それは心からの詩

今まで気づかなかった自分の生まれた島の美しい音、

教会の鐘の音や海の波音や心音・・

疲れる汚いと言って嫌ってた父の漁師という仕事の網の音・・

この詩は詩人に向けてのものでもあり自分への感謝でもある。

この音を島民みんなで録るシーンから感動しました。


そしてそのあとの展開はまるで「リバーランズ・スルーイット」です。

人生とは?生きた意味とは?出会った意味は?

・・なんかコメント文書いていても思い出してまた感動してきました(爆)

一瞬一瞬を切り取って空にばら撒いたようなエンディングの作品が好き。

言葉の美しさに酔い言葉に目覚めそして・・

郵便屋さんが初めて書いた詩、

詩人が送った詩・・

この詩人というのは実在の人です。

パブロ・ネルーダの詩をぜひ読んでみたくなりました。

私は共産主義でもないし政治活動をしませんから(爆)大丈夫・・



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