ウィンター・ソング | 桜さんの映画鑑賞日記

ウィンター・ソング

ウィンター・ソング 2005 香港


PERHAPS LOVE
如果・愛



その愛は、さよならから始まった……。

ウィンター・ソング/金城武
¥3,147
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*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


監督: ピーター・チャン
製作: アンドレ・モーガン
ピーター・チャン
撮影: ピーター・パウ
編集: ヴェンダース・リー
コン・チールン
音楽: ピーター・カム
レオン・コー
 
出演: 金城武 林見東(リン・ジェントン)
ジョウ・シュン 孫納(スン・ナー)
ジャッキー・チュン 聶文(ニエ・ウェン)
チ・ジニ 天使


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「ラヴソング」「君さえいれば/金枝玉葉」のピーター・チャン監督が、「LOVERS」の金城武と「小さな中国のお針子」のジョウ・シュンを主演に迎えて贈る異色のミュージカル・ラブ・ストーリー。

かつての恋人同士がミュージカル映画の共演で再会、劇中の恋物語に過去の記憶が重なり合い激しく揺れ動くさまを切なくも華麗に綴る。
 昔の上海を再現したスタジオでミュージカル映画の撮影がスターとした。

ヒロインは孫納(スン・ナー)。監督とは仕事を越えた関係が続いていた。

そんな孫納の相手役として香港から呼ばれた人気俳優、林見東(リン・ジェントン)は、かつて孫納と恋人同士だった男。

彼女の女優への夢が2人を引き裂いた。以来10年間、見東は彼女への想いを断ち切れず苦悩してきたのだった。

やがて、2人が演じるミュージカルのストーリーが、10年前の2人の愛を甦らせていく…。




★★★★★☆☆☆☆☆

ラブラブ苦手な恋愛もの、しかもミュージカルです。

なんで苦手なのにわざわざ観るんだ?ということですよね(苦笑)

金城武が見たいからです。

私は韓国映画には全く興味がありません(最近の歴史ものは見たい)が、

香港映画中国映画は観ます。

なぜかと言えばまあ金城が出てるから(全部観ました)というのと、

以前から香港映画のいいかげんさや、

映像美がクセになり、

わけのわからない(ってこともないのですが)イタリア映画を観る感覚と、

なんとなく似てるのではないかと最近特に思うのです。

イタリア映画のどぎつい色彩がアートしてて好き。

あのホラーめいた大げさな音楽の入れ方も時に好き。

グダグダ不必要な前置きも投げやりなラストも、

なんとなくイタリア映画と香港映画が似た世界というのは変?

全部が全部ではないのですがね。


しかしこの作品は飛びすぎでした。

ミュージカルとは予備知識にあったものの、

やはり歌うんですね(当たり前か)

しかも私の苦手な(記憶喪失)またかよーー??

それならいっそSFにしちゃえ(爆)

SFのほうが今風でおしゃれだよ。

また、まだ「ドクトルジバゴ」か「冬ソナ」か??

と突っ込みながら観ていたんです。

まあでも香港映画は風呂敷広げますから、

きらびやかですね。

筋よりも映像美と割り切って観るんですが、

この筋はこわいくらい演出が凝っててわかる。

「恋する惑星」とかのおしゃれな演出を思い出す。

プールで浮遊するように泳ぐ女優に、

口付けして記憶を思い出させ逃げる男。

怖いですよ。息できないじゃあないですか!

そのあとPCに向かい中国語(北京語か)を連打し睡眠薬をかじる。

なんという病んだ世界をおしゃれに描くんだ。

・・最初は(おおっ)と思って観てたんですが、

懲りすぎ(苦笑)

香港映画はアート加減が飛びすぎて付いてゆきかねます。

見る人を選ぶということなんでしょうが、

今回はちょっと濃いかも・

美術として楽しむならぜひ観て損はない。

万人受けはしないなぁ・・

カメラワークも懲りすぎて(何を撮ろうと言うのだ・・みたいな感じ)

映画の勉強にはなりました。


ただ、最後の投げ出されたようなラストもありか。

なんかわかるよこの世界と納得。

セリフや回想で説明されすぎる最近のハリウッド映画よりは、

映像で記憶させようと試みるこの作品は、

独特の個性があってなかなか味がありました。

金城武はでも・・昔のはれまぶたのほうが好きだなぁ。

しかし香港映画ってほんとに感心するくらい、

キメポーズがありますね(苦笑)

ああそこもなんとなくイタリア映画に通じる恥ずかしさがあるのかも。

だから観てしまうんだけど・・


思い出の中にいる自分を認めてもらえれば、

きちんと別れられるというのはすごくわかります。

別れというものは新たな旅立ちであり出会いでもあるから、

うやむやにきれいに別れようと逃げると、

残されたほうは一生無駄な時間を過ごすかもしれない。

なんとなくわかるのです。

過去を取り戻せられればそこから旅立てる。

気がないと言うのは気があるかもと期待させるのか?

好きでしたと言わせたら征服した気になるのか?

愛してたと言ってもらえれば、

そこから先は別れしかないのだから・・

雪の降る小屋で、

カセットデッキに(君は今日もいなかった)と吹き込む男は、

目の前にいる女が(いた)と確認できたから、

別れられたんだろうなと思う。

これはなかなか大人の難しい映画かな。

この描写演出はわかりやすく面白かったです。