東京タワー オカンとボクと、時々、オトン? | 桜さんの映画鑑賞日記

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン?

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン  2007



オカン、ありがとうね。



tokyo2

tokyo

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


監督: 松岡錠司
原作: リリー・フランキー 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社刊)
脚本: 松尾スズキ
撮影: 笠松則通
美術: 原田満生
衣装: 宮本まさ江
編集: 普嶋信一
音楽: 上田禎
主題歌: 福山雅治 『東京にもあったんだ』
メイク: 豊川京子
照明: 水野研一
録音: 柿澤潔
 
出演: オダギリジョー ボク
樹木希林 オカン
内田也哉子 若い頃のオカン
松たか子 ミズエ
小林薫 オトン
冨浦智嗣 中学、高校時代のボク
田中祥平 小学校時代のボク
谷端奏人 幼少時代のボク
渡辺美佐子 筑豊のばあちゃん
佐々木すみ江 小倉のばあちゃん
原知佐子 現在のノブエおばさん
結城美栄子 現在のみえ子おばさん
猫背椿 ブーブおばさん
伊藤歩 タマミ
勝地涼 平栗
平山広行 磯山
荒川良々 えのもと
辻修 ホセ
寺島進 ハイカラな男
小島聖 若い頃のノブエおばさん
吉本菜穂子 若い頃のみえ子おばさん
光石研 小料理屋の客
千石規子 病院の借家の老婆
仲村トオル ラジオ局のディレクター
土屋久美子 高校の女教師
小泉今日子 不動産屋の事務員
板尾創路 「かっぱ」の客
六角精児 編集長
宮崎あおい アイドルDJ
田口トモロヲ 郵便配達
松田美由紀 中目黒の大家
柄本明 笹塚の診療所の医者
田中哲司 東京の病院の医者
塩見三省 葬儀屋
岩松了 催促する編集者の声
江本純子 風俗嬢C
安藤玉恵 風俗嬢A
栗原瞳 風俗嬢B
麻里也 堕落した日々の彼女
竹下玲奈 大学時代の彼女
小林麻子 似顔絵教室の女子社員
ぼくもとさきこ 東京の看護婦

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


 空前のベストセラーとなったリリー・フランキーの同名自伝小説をオダギリジョー、樹木希林主演で映画化した感動ドラマ。
原作者と同じ福岡出身の松尾スズキが脚本を担当。
監督は「バタアシ金魚」「さよなら、クロ」の松岡錠司。
共演に松たか子、小林薫。また、若い頃のオカン役を樹木希林の実の娘、内田也哉子が演じて話題に。
 1960年代、オトンに愛想を尽かしたオカンは幼いボクを連れ、小倉から筑豊の実家に戻ると、妹の小料理屋を手伝いながら女手一つでボクを育てた。
1970年代、15歳となったボクは大分の美術高校に入学、オカンを小さな町に残し下宿生活を始めた。
1980年代、ボクは美大生となり憧れの東京にやって来るが、仕送りしてくれるオカンに申し訳ないと思いながらも学校へもろくに行かず自堕落な日々を送ってしまう。
留年の末どうにか卒業したものの、その後も相変わらずフラフラした生活を送るボクだったが…。

゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


★★★★★★★☆☆☆

カゼ ちょっと前に劇場で観ました。

泣けると覚悟して「人の人生見て感情移入できるのか?」とも思っていました。

テレビも原作も全然見ていません。

映画を観るのが最優先なのでだいたい原作は読まないようにします。

でも・・あらすじは一応調べるんですよね(苦笑)

原作者によればこの映画化のが一番原作に近いとパンフにありました。

若い頃のボクはオダギリにそっくりだったと(爆)

でも原作者のリリーさんの年頃ならこういった髪型の人いてそうだ。

何もかもが60年代なのね。

「東京タワー」つまり感涙モノのオールウエーズの三丁目の夕日の世界が、

この映画の続編だと言ってもいいくらいです(三丁目は続編は作るらしいですが)

東京タワーがなかったころ、出来たすぐの頃を知らないボクことリリーさん。

その父がタワーをバックに写真に写ってる。

なんかレトロでいいです。

服もおしゃれに見えてしまう。

今流行の(今のはリバイバルなんですね)60-70年代・・

その時代の人が見たらまた「いや、そんなにおしゃれに描かないでくれ」と思うかもしれない。

けれどとっても新鮮で、

ボクの母オカンの若い頃の内田也哉子のファッションや髪型がなんかよい。

樹木希林の実の娘ということがこの作品の成功のひとつでしょう。

つたない演技に違和感を感じる人もいるかもしれないけれど、

この親子が同じ母をやっているからこそリアルさがあると思う。

ただ・・

ボク役オダギリはよいとして少年時代から細かく配役を変えすぎたそのほうが違和感。

小さなどこにでもあるエピソードが最後にジグゾーパズルがばらまかれたように散らばる・・

ニューシネマパラダイス」「イルポスティーノ」「リバーランズスルーイット

これらの作品が好きな私には泣ける映画となりました。

ただし、

あまりにも抑揚がなく絵日記のようにだらだらと続いてゆくので、

最後だけの映画じゃあないかと感情移入できないかもしれませんが・・

自叙伝。

これは特にまだ生きている人の絵日記のようなもの。

よかったのは政治的な人物や偉人などではなく、

たとえ主役が本当に芸能人であっても、

ラジオ局に勤めていようが東京で成功していようが、オダギリジョーであろうが、

どこにでもあるお話なのです。

たぶん職種を変え出身地を変えほとんどの人になにかしら共感は与えられると思う。

子供の頃のこと。

だれもがあること。

主役がオダギリなのでほとんど見た方は子供ボクの立場でしょうか。

でも母親の立場でも見られた方もいらっしゃるかもしれない。

そして父親の小林薫(全時代ひとりでやってます)の立場・・

親父って母親には勝てないのかもしれない。

なんかすごくわかりやすく日本の親子を描いていました。

三丁目の夕日とセットで見られることをお勧めします。


ALWAYS 三丁目の夕日 通常版/吉岡秀隆
¥2,790
Amazon.co.jp


劇場で観る映画が小説やテレビドラマと大きく違うのは、

大画面で絵を見られること。

2枚親子の手をつなぐ絵を並べて見ましたが、

その絵は一生忘れられない絵なのです。

ボクから見れば若い母に手をひかれ一生懸命ついてゆく絵。

そして年老いた母はボクより小さくなっている、

横断歩道を気遣いながら母の歩幅に合わせて歩くボクの絵。

このシーンからもう私の肩がヒクヒクしていました(苦笑)

それまでのダラダラした日常がこの2枚の絵で重なりました。

母から見た立場と言うのが私にはわからなかったのですが、

離縁した父と友達のような恋人のようなはっきりしない関係のまま、

それでも最後にはオトンを呼ぼうとしていた。

このシーンにオカンのささやかでかわいい人生を見ました。


後半は苦痛なくらい闘病生活のシーンが続くのですが、

つらい場面や現実をきちんと描けなければそれまでのことは絵日記で終わります。

これは最初から覚悟して見に行ったので暗くは感じませんでした。

暗いというより暖かい映画なのです。

難点マイナスを言わせていただくと、

ギャグがベタで笑えなかったこと。

主題歌が今イチ(今3か)で暗く盛り上がりがなかったこと。

同ジャンルの「眉山」の主題歌のほうがよいと思います。

そして大きなマイナスは、

オダギリの語りが多すぎること。

映画とは全部丁寧に説明されてしまうと本を読むのと変わらなくなる。

時代の切り替わりの時だけでいいと思う。

これはすべての映画にいえることなんですが最近多いですね。

後半の手をつなぎ横断歩道を歩くときセリフも音楽も途切れました。

あの情景の使い方を要所にもっと入れてほしかったです。

砂の器」の後半を思い出しましたもの。


息子が母親に恩返しをするストーリー、

ただそれだけのお話なんです。

でもそれが普通のことが最後まで出来たと満足できる人はどれだけいるだろうか。

当たり前のことが今の時代うっとうしがられているのはなぜだろう。

当たり前に普通なだけなのに、

ちょっと背伸びして自分も成功しちゃった。

そんなボクを目指してみようと思いませんか。

自叙伝であるのに自慢にも感じないのは、

本当はみんなそうしたい、

もしかしたらちょっとしたことからできるかもしれない・・

そう思ってるからかもしれません。

哀しい映画ではなく、

ちょっとだけ自分以外のことも考えてみようと、

やさしく強くなれたら意義がありますね。