眉山 -びざん-
眉山 -びざん- 2007 日本
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監督: 犬童一心
原作: さだまさし 『眉山 -BIZAN-』(幻冬舎刊)
脚本: 山室有紀子
撮影: 蔦井孝洋
美術: 瀬下幸治
編集: 上野聡一
音楽: 大島ミチル
主題歌: レミオロメン 『蛍』
照明: 疋田ヨシタケ
録音: 志満順一
出演: 松嶋菜々子 河野咲子
大沢たかお 寺澤大介
宮本信子 河野龍子
円城寺あや 大谷啓子
山田辰夫 松山賢一
黒瀬真奈美 河野咲子(14歳)
永島敏行 島田修平
中原丈雄 小畠剛
金子賢 吉野三郎
本田博太郎 綿貫秀雄
夏八木勲 篠崎孝次郎
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さだまさしの同名小説を「ジョゼと虎と魚たち」「メゾン・ド・ヒミコ」の犬童一心監督が映画化した感動ドラマ。
ガンに冒されながらも気丈に振る舞う母と、そんな母の秘められた過去の恋を辿ってゆく娘の強い絆を描く。
出演は「犬神家の一族」の松嶋菜々子と「子ぎつねヘレン」の大沢たかお、そして10年ぶりの映画出演となる宮本信子。
東京で旅行代理店に勤める咲子は、徳島で一人暮らしをしている母・龍子が入院したとの報せを受け、久しぶりの帰郷を果たす。
咲子はそこで母が末期ガンであることを知る。元々江戸っ子の龍子は入院してもなお、何でも自分で決めてしまう。
そんな母に寂しさを感じながら看病を続けていた咲子は、医師の寺澤と出会い、少しずつ心を癒されていく。
そんな中、母からは死んだと聞かされていた父が今も生きていることを知った咲子は、母の人生を知りたいと、まだ見ぬ父のもとを訪ねるのだが…。
★★★★★★☆☆☆☆
例によって原作を読まずにしかし前知識は調べて観にいきました。
微妙~!
すごく映画的であまりに映画的すぎなので、
テレビドラマを映画化したような作られた世界がそこにありました。
やはり「東京タワー」を観て比べてしまう・・
あれはノンフィクションのいいところと悪いところがあった。
でもこれはああ、フィクションの世界だ・・
私は徳島なので出てくる景色も見たものばかりだし、
ひいきに観なければいけない立場なのですが・・
親子の愛情があまり丁寧に描かれていないような気がしました。
比べてしまうのも仕方ないのですが「東京タワー」では、
単に誰にでもあるお話ですが、
子供がどれだけ親にしてもらったことを、
愛情で返せるかという当たり前のいとおしい話。
眉山は子供が親に返せる愛情は父親と合わせること、
そしてそれこそが自分探しでもあり親から子の償いでもある。
ここらの筋はわかっていても苦手な・・
洋画でいえば「マディソン郡の橋」や「タイタニック」に似た感じがしました。
どうも親子の過去に恋愛を絡ませる筋はドラマチックになりがちですが、
やはりドラマ演出が効いていて感情移入は難しかったです。
娘の自分探しと母の隠された過去の思い出・・
実際にどこにでもあるというよりは、
洋画やテレビドラマにありそうな展開・・
せっかく朴訥で自然も美しい徳島を舞台にしているのだから、
娘と母の過去の思い出を後半に病院の公園のベンチで話すのではなく、
時折織り交ぜてどこかにあるお話にもしてほしかったです。
共感を得られ、
自分の話でもない映画。
私はどうもこのての映画にはいつも期待してしまうのが、
世界は違えどどこか自分が入ってゆける余地のある映画。
「ニューシネマパラダイス」の、
帰ってきても子供の部屋はそのまま用意されているくだりや、
「イルポスティーノ」のように、
田舎から出たい自分と出た恩人に贈る音が実はかけがえのない田舎の美しさ・・
映画ではこれらのイタリア映画を日常に重ねることができる余地がある。
もちろん「東京タワー」も私の世界ではないけれど、
あのお母さんはどこにでもいそうだし、
伝えたいことはただ親への恩返しとどこにでもある。
「眉山」だから徳島だから厳しく観てしまうのかもしれませんね。
もし私が徳島から遠く離れていれば・・
おそらくはあの真夏の阿波踊りのシーンだけで感動できるかもしれない。
でもあの阿波踊りも映画的でした。
桟敷で見物するシーンだけではなく橋や町全体で踊り狂う絵が少ない。
汗を感じないのはやはり映画的なきれいさが優先されていたから・・
あと・・
母親がどうも私が苦手な感じの女性だった。
徳島の母親はもっと暖かく朴訥でいてほしい。
あれでは元旅館かクラブのママですよ・・
原作がそうなんだから仕方がないのですが、
これが大きな違和感でした。
私が犬神家シリーズの女性が苦手なのもそんな理由から。
よかったところはあまり欠点がない映画的な映画だったということ。
ここまで映画的に描くなら、
水のきれいさや自然の美しさをそのまま演出してほしかったかな。
蛍のシーンは幻想的でしたがやはり映画的でした。
毎年田舎の母と阿波踊りを見に行くのが恒例になって、
いまや義務と化しております。
いやいやめんどうくさいけど、
でもそれが多少の親孝行で誰でも恒例のお盆帰りなのです。
その中途半端な気持ちと変わらない安堵感は、
出せていたと思いました。