桜さんの映画鑑賞日記 -3ページ目

白い巨塔

白い巨塔  1966 日本


白い巨塔 劇場版/田宮二郎
¥4,096
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: 山本薩夫
製作: 永田雅一
原作: 山崎豊子
脚本: 橋本忍
撮影: 宗川信夫
美術: 間野重雄
音楽: 池野成
 
出演: 田宮二郎
小川真由美
東野英治郎
滝沢修
船越英二
田村高廣
石山健二郎
小沢栄太郎
藤村志保
長谷川待子
岸輝子
加藤嘉
永田靖
加藤武
下絛正巳
鈴木瑞穂
須賀不二男
清水将夫
高原駿雄
早川雄三
北原義郎
潮万太郎
滝花久子

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ブルーリボン賞
作品賞
脚本賞 橋本忍


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


日本医学界の謀略うずまく内幕を描いた、山崎豊子原作のサスペンス小説を巨匠・山本薩夫監督が映画化。

派閥闘争の中心人物である財前五郎を演じた田宮二郎は本作でブレイク、映画スターとして不動の地位を築き、後にテレビシリーズでも同じ役を演じた。





★★★★★★★☆☆☆

ガーン これね、借りたディスクに傷があったみたいで、

裁判のシーンから飛んで飛んで・・

仕方なく停止&スロー再生で日本語字幕でセリフを確認して見ました。

だから感動とかそういうのはないです。

惜しい。

今度テレビドラマ版を借りてみようかなとも思うんだけど、

あれはオチがわかってしまってるから・・

当時原作に手を加えてお涙頂戴の完璧ストーリーとなったそうです。

なるほど本作のほうが確かにあっさりしすぎてなんともいえない。

けれどもこれはこれでもいい。

説明不足だし盛り上がりが後半くらいしかないけれど、

このラストはなんとなくよいと思う。

たぶん時代だと思います。

当時は成り上がっていく財前のほうが、

よい人なる里見のほうより人気が出て、

たぶん高度成長期に差し掛かり日本人は成り上がりの美学を求めてたと思う。

そしてまた、

それからしばらくしてテレビドラマが出来たらしいのですが、

この時代になると成り上がりの美学に対する嫉妬や嫌悪から、

原作を作者が書き直して財前を最後に死なせるという、

感動もの人間ドラマにしたのでしょう。

確かに時代に合っているだろうしあざといのですが、

かなり完成され丁寧なドラマだったらしいです。

そして主役の田宮さんが自殺?といういわくつきで、

リアルな後世に残る名作となりました。

・・見てみたくなってきた(苦笑)


そして現代になってこれ、

またテレビドラマ化されたんでしたよね。

それも見ていないのですが・・

やっぱりあらすじを読んでしまうと、

少なくても田宮さんのほうが興味があります。

そして一番先に優先されるのはやはり、

一番古い作品。

リメイクされた有名な映画やドラマは、

私はとにかく一番古いのを選ぶようにしています。


この作品は財前のかっこいい成り上がりドラマで、

その裏の根回しや人間の冷たさも描いています。

里見も朴訥で誠実で融通が利かないところもよく描けてる。

ラストの里見への仕打ちもありかなと思います。

このラストはいい。

まあその後を知ってるから財前のその後がわかるからなんだけど・・

もしテレビドラマで感動された方がこれを見たら、

違和感を覚える方もいるかもしれない。

でもビギニングを見るような感じで鑑賞すれば、

これはこれでよく出来てると思います。


白い巨塔 Volume 1 (田宮二郎主演)
¥5,220

白い巨塔 DVD-BOX 第一部/唐沢寿明
¥13,500
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海と毒薬 デラックス版
¥4,230

海と毒薬  医療ドラマです。

描写はこっちのほうがショッキング。

すごいシリアスな映画。

悪い奴ほどよく眠る/三船敏郎
¥6,111
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悪い奴ほどよく眠る

これは面白い。

黒沢映画は時代劇ではないほうが好きです。



疑惑/桃井かおり
¥3,471
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疑惑

松本清張ってほんと面白い。

これもラストの意味深さがよい。


ぼくは怖くない?

ぼくは怖くない  2003 イタリア

IO NON HO PAURA

I'M NOT SCARED



その夏、少年は大人への扉を開けた

ぼくは怖くない/ジュゼッペ・クリスティアーノ
¥3,455
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: ガブリエレ・サルヴァトレス
製作: マルコ・キメンツ
ジョヴァンニ・スタビリーニ
マウリツィオ・トッティ
リカルド・トッツィ
原作: ニコロ・アンマニーティ 『ぼくは怖くない』(ハヤカワepi文庫刊)
脚本: ニコロ・アンマニーティ
フランチェスカ・マルチャーノ
撮影: イタロ・ペットリッチョーネ
音楽: エツィオ・ボッソ
 
出演: ジョゼッペ・クリスティアーノ ミケーレ
マッティーア・ディ・ピエッロ フィリッポ
アイタナ・サンチェス=ギヨン アンナ
ディーノ・アッブレーシャ ピーノ
ディエゴ・アバタントゥオーノ セルジョ


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


イタリアの小さな村を舞台に、一人の少年が大人たちのある秘密を知り、葛藤しながらも勇気を持って一歩を踏み出していく姿を美しくノスタルジックな映像で綴った成長物語。

原作は、本作で脚本も手掛けているニコロ・アンマニーティがイタリアの文学賞を受賞した同名ベストセラー小説。

監督は「エーゲ海の天使」のガブリエレ・サルヴァトレス。
 1978年の夏、南イタリア。麦畑が一面に生い茂る小さな村に住む10歳の少年ミケーレ。

彼はある日、廃屋の裏で不思議な穴を発見する。

中を覗いてみると、なんと鎖に繋がれている少年がいた。

事態が飲み込めず混乱するミケーレ。

恐怖のあまり誰にも打ち明けられない彼だったが、どうしても気になって何度も穴に行くようになる。

やがて、穴の中にいた少年フィリッポも心を開き始め、2人は次第に友情を育んでいく。

しかしある時、ミケーレは彼の父や村の大人たちが交わす会話を盗み聞いてしまう。

どうやらそれは、あのフィリッポに関わる何か恐ろしいことのようだった…。



★★★★★★☆☆☆☆

叫び これ・・ファンタジーなんですね。

どっちかというと・・

怖いもの大好きな私は意外にもこのほのぼの映画でびっくりした。

スティーブン・キング?M・ナイト・シャマラン?

いいえ全然違うんですがそんな感じの世界なんだなぁ・・

だから好き。

わかっていてもびっくりして叫んでしまったのだけれど、

あの穴の中から出てきたあの・・あの子不気味すぎ(苦笑)

そうかその軽いノリかとコメデイも混じってて見ていて納得していたのですが、

後半の急展開はある意味感動できない人も多いのでは?

私は最初の穴のシーンと同じように製作者の思うツボにはまりました。

子役が気に入るかどうかも重要です(爆)

穴に幽閉された不気味な子。

絶対本当はかわいいんじゃないか?と見ていた。

この子役を見るとM・ナイト・シャマラン監督の世界ですよ(監督違いますが)

そしてやっぱりイタリア映画って・・

変な世界。

中だるみが必ずある。

音楽はきれい。

映像が絵画のように美しい。

残酷な描写を軽くする。


子役中心なので子供がたくさん出てきますが、

男の子ふたり以外に妹の変な役が気になります。

ほんとに変な子なんですがリアリテイがあるのです。

腕がもげた人形の髪をつかんで水遊びとか・・

不気味なんですがありえます。


とにかくこの村に住んでいるのは変な人ばかりで、

でもどこか見覚えがあるのです。

どこにでもいる変わった人たち。

物語はわかりやすい。

見終わった後、

何でこのラストに感動したんだろうか?と自分で考えた。

たぶん登場人物に感情移入できて応援しちゃってたんだろうなあ・・

それが描けているのが最初のほうの子供たちの描写。

誰にでも経験あること。

罰ゲームで太い女の子が裸にならなければならない。

それを止めてかばうのが主人公の男の子。

女の子だから?嫌がってるから?

それはわからないけれども、

この短いシーンで主役の男の子の子供から青年に変わる自覚。

弱いものを守ろうとする正義感。

それがよくわかる描写です。

ここを軽く見逃すとそれからこの子供が誰かの命を救うことに疑問を持つと思う。

家庭環境やら過疎化された村の形態や子供の成長・・

ここらは中だるみなのですが子供の成長記と思って見ましょう。


主役の男の子は幽閉された男の子に自分を重ねていたと思う。

そこから出たがっているのは自分なのだと。

穴の中の子は自分なのだと自覚していたはず。

タイトルの「ぼくは怖くない?」というのはそうも取れるのです。


最後のどんでん返しはそんな強引なというところですが、

こういう終わりも派手でよいかも・・(ちょいハリウッドっぽい)

シックスセンスに代表されるシャマラン監督作が好きな人は楽しめるかも。

死んでいたとか蘇生するとかのホラーではありません。

まず自分を中心に考える大人の目線で見ると絶対ありえない。

そこはファンタジーということで大甘に・・


天城越え

天城越え 1983 日本


¥3,420


天城越え


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: 三村晴彦
製作: 野村芳太郎
宮島秀司
原作: 松本清張 『天城越え』
脚本: 三村晴彦
加藤泰
撮影: 羽方義昌
美術: 横山豊
編集: 鶴田益一
音楽: 菅野光亮
助監督: 花輪金一
 
出演: 渡瀬恒彦 田島松之丞
田中裕子 大塚ハナ
平幹二朗 小野寺建造
伊藤洋一 小野寺建造・中学時代
吉行和子 建造の母
金子研三 大男の土工
小倉一郎 建造の叔父
石橋蓮司 土谷良作
樹木希林 その女房
坂上二郎 旅の菓子屋
柄本明 旅の呉服屋
北林谷栄 茶店の婆さん
佐藤允 江藤署長
山谷初男 山田警部補
伊藤克信 赤池巡査
車だん吉 黒田運転手
榎本ちえ子 女子事務員
中野誠也 県警の広報係長
加藤剛 国立病院の医師


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 14歳の少年と娼婦が天城峠を旅しているとき起きた殺人事件と、30年間、事件を追い続けた老刑事の姿を描く。
家が嫌になり静岡の兄を訪ねるため、ひとり天城越えの旅に出た少年。途中、素足で旅するハナという女性と出会い、二人並んで歩く。
しかし、道中、旅の資金を手に入れるために行きずりの男に声をかけるハナ。
無理やり少年と別れたハナの後を、密かに追った少年は草陰で情交を重ねる二人の姿を目撃してしまう……。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ブルーリボン賞
主演女優賞 田中裕子


★★★★★★★☆☆☆
汗この作品は前から気に入っていて、
松本清張シリーズでは、「砂の器」「鬼畜」とともに、
私のお気に入り3部作です。
どれも号泣した覚えがあります(恥)
パターンはおんなじなんですけどね・・
誰かをかばうために嘘をつくかシラをきるパターン(おくゆかしくて好き)
何度鑑賞してもおんなじところで感動しちゃう・・

内容の細かなところも忘れかけてるのに、
おんなじ場面が近づくとひしひしと思い出す。
スピルバーグ映画のようなんです。
ある意味あざといんだけれど・・
清張映画の叙情編
とにかく回想シーンが絵で魅せて言葉の説明が少ない。
わかりづらい人もいるかもしれないけれど、
わかる人には心の琴線に触れてしまう・・
それが今回は初恋という、
サスペンスの中に純愛を取り入れた秀作になっています。


少年の初恋。
それは共感できるのです。
男とか女とか区別せずに大人の前の年に、
もちろん殺人事件や女郎への憧れなどはないけれど、
ものすごくわかる場面があるのです。
くどすぎる描き方かもしれない。
けれども後半のあるシーンそれまで重ねられていた、
原稿用紙の映像化が映画となって押し寄せてくる・・
(イル・ポスティーノとかもこのパターンなんだよなぁ・・)

主人公は老刑事の訪問を受けある原稿を印刷する出版社の社長。
その刷り起こされた文字が最初にテロップとして流れる・・
「天城越え」うまい!
その原稿は主人公の回想となり幼少時に重なってゆく・・
説明は映像で現されセリフはない。
生涯独身で通した彼の机の上には母親の写真。
幼少時の彼の生い立ちは天城峠に繋がってゆく・・


そこで出会った女郎にはどこか母親の面影もある。
若かりし日の刑事もある事件で重なりそこではたと気づく。
これは純愛映画でもありサスペンスでもあるけれど、
このころの時代背景をも描ききっていると。
異なるものへのきめつけと罪悪。
男尊女卑。
時代が現在と交差してまた気づく。
天城峠を走り抜けるオートバイ・・
エンディングのなんともいえない余韻。
ただのサスペンスがらみの純愛映画ではない。
主人公の余命がどれだけなのかも説明されない。
全ては回想シーンと現在のシーンだけしかない。


何度もオーバーラップする田中裕子の菩薩のような笑顔と、
その雨に濡れる顔に許しを得てもどうにもならなかった少年の涙・・
この作品は10代の終わりの男の子または、
その時代を遠く懐かしむ中年層に受けそうな純文学ですね。
でも私はなぜか少年や男の人の目で描かれている作品は見られるのです。
あまりどろどろしていないところがよいのかも・・
中性的に見られるのが共感できるみたい(爆)
どうしても女性主役の不倫ものや少女の恋愛ものはひいてしまう。
男の人の純愛のほうがキラキラしてるのかもね・・
(あすなろ白書や東京ラブストーリーが好きなのでした)





シリアナ

シリアナ 2005

SYRIANA


地球は陰謀でできている。

シリアナ (UMD Video)
¥1,500
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: スティーヴン・ギャガン
製作: ジェニファー・フォックス
ジョージア・カカンデス
マイケル・ノジック
製作総指揮: ジョージ・クルーニー
ベン・コスグローヴ
ジェフ・スコール
スティーヴン・ソダーバーグ
原作: ロバート・ベア 『CIAは何をしていた?』(新潮社刊)
脚本: スティーヴン・ギャガン
撮影: ロバート・エルスウィット
プロダクションデザイン: ダン・ヴェイル
衣装デザイン: ルイーズ・フログリー
編集: ティム・スクワイアズ
音楽: アレクサンドル・デプラ
 
出演: ジョージ・クルーニー ボブ・バーンズ
マット・デイモン ブライアン・ウッドマン
アマンダ・ピート ジュリー・ウッドマン
クリス・クーパー ジミー・ポープ
ジェフリー・ライト ベネット・ホリデイ
クリストファー・プラマー ディーン・ホワイティング
ウィリアム・ハート スターン・ゴフ
マザール・ムニール ワシーム・カーン
ティム・ブレイク・ネルソン ワニー・ドルトン
アレクサンダー・シディグ ナシール王子
マックス・ミンゲラ ボビー・バーンズ
ジェイミー・シェリダン テリー
ウィリアム・C・ミッチェル ベネット・ホリデイ・Sr.
アクバール・クルサ メシャール王子
シャヒド・アハメド サリーム・アハメド・カーン
ソネル・ダドラル ファルーク

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


石油利権が渦巻く中東を舞台に、ベテランCIA工作員の暗躍をドキュメンタリー・タッチで描いた政治サスペンス。

元CIA工作員ロバート・ベアが著わした告発本『CIAは何をしていた?』を、「トラフィック」でアカデミー脚本賞を獲得したスティーヴン・ギャガンが監督・脚本を手掛け映画化。

並行して描かれる複数の物語が複雑に絡み合い、石油利権に群がる人々の欲望とそれが生み出す巨大な陰謀を白日の下にさらす。

出演はジョージ・クルーニー、マット・デイモン、ジェフリー・ライト。
 改革に意欲的な王子ナシールが王位継承権を持つ中東のとある小国。

長年危険な諜報活動に従事してきたCIA工作員のボブ・バーンズは息子の大学進学を機に引退を決意する。

そんなボブに最後の極秘指令が下される…。

ワシントンの大手事務所で働く野心溢れる弁護士ベネットは、アメリカの巨大石油企業コネックス社が絡んだ大型合併を巡る調査を任される…。

ジュネーブに暮らすエネルギーアナリストのブライアンは、ある不幸な出来事をきっかけに、ナシール王子の相談役に抜擢される…。

ナシールの国に出稼ぎに来てコネックス社の油田で働いていたパキスタン人青年ワシームは、突然の解雇に遭い、路頭に迷う…。

まるで繋がりを持たないはずの彼らの運命は、容易に見通すことのできない一つの巨大なシステムの中に深く組み込まれていく。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


アカデミー賞
助演男優賞 ジョージ・クルーニー
ゴールデン・グローブ
助演男優賞 ジョージ・クルーニー


CIAは何をしていた?/ロバート ベア
¥860
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★★★★★★☆☆☆☆

爆弾 詰め込みすぎ&説明不足なのですが、

娯楽もきちんと抑えておりそれなりには楽しめました。

ただ社会派映画で通してほしかったのに、

中途半端なスパイ映画のようになってしまい、

まあこれでよいのかどうかなんとなく終わり後には何も残らず・・

ミュンヘン」のほうがよっぽど緊張感があり(問いかけ)が伝わりましたが。


ミュンヘン スペシャル・エディション/エリック・バナ
¥3,269
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ミュンヘン―黒い九月事件の真実/アーロン・J. クライン
¥780
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最近こういう元C.I.Aや元モサドやらの原作映画化がはやっており、

映画も自由な時代にはなっているものの食傷ぎみ・・です。

印税や権利収入などいろんなメリットもあり、

引退したスパイの果たして全部本当のことの告白なのか、

映画化も果たして本当の正義感からなのか、

本当のところは本人さえわからない。

ここは簡潔に面白さやメッセージだけ汲み取れる、

映画としての娯楽手段から要点だけわかればよし。

そこから興味を持てれば意義があると思うのです。

そこでこの映画の意義はあるのですが、

どうも万人ウケしない作りが要点よりもサスペンスとして観て終わり。

そうならないことを祈っていますが・・


トラフィック/マイケル・ダグラス
¥3,100
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麻薬を取り扱った社会派映画として成功。

しかし私が日本人で麻薬とは縁も興味もなく(当たり前か)

内容としては「シリアナ」のほうが面白かった。

映画の作りはトラフィックのほうがわかりやすく丁寧。

色分けという斬新な手法で登場人物が多くとも映画はわかりやすい。

シリアナは正直世界を広げすぎてしかも話がマニアックすぎ


もちろん政治、戦争、物流、多民族、宗教・・全部が重なり、

どれが抜けてもお話にはならないのですが、

どれかを重点的においてどれかを説明だけにしてもよかったかも。

私は興味のある中東を中心に観ていました。

どうせ題がシリア中心でシリアナなのだから、

シリアに全部集まるのではと・・

これが最初から007ばりのスパイもので始まったから違和感。

助演賞(どこがどうよかったのか、しかも助演?)のジョージ・クルーニー中心の娯楽か、

元C.I.Aが彼なのだから仕方はないにしろ、

もっとうまく引いた語り部役で伝えればまとまったと思う。

ここらの構成は、

この映画がうまく製作してるので観てください。


大統領の陰謀/ダスティン・ホフマン
¥669
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この映画も元C.I.Aの原作でしたが、彼(C.I.A)は顔は見せないうまい演出。



さてシリアナの私の観方はシリア中心と書きましたが、

これがややこしい。

まるで「犬神家の一族」ですよ(爆)

気をつけて見ればわかることなのですが、

第一王子と第二王子の見分けをやり過ごすとわけがわからなくなります。

最初のほうでC.I.Aが暗殺指令を出しているのが極悪とされている長男のほう。

これは(嘘だ)と感づきました。

いかにも品のよさそうな次男のほうは何をたくらんでいるのかわからない。

読んでいるように見ていたら大失敗。

途中でこの兄弟が見分けがつきにくくなった(苦笑)

アメリカや石油会社が出てきたのでそっちのほうに頭を使い、

兄弟の顔が薄れてしまい(弟いい人かも)などと、

勘違いしてしまった。

砂漠でサッカーなんか子供としてちゃいけないよね(爆)

この偽善なるニュートラルな実は支配欲に溢れた強欲なる次男。

これのつかみ所のない演出は・・

主演は誰なのか謎なのですが、

この映画の主演はまさにヤツでしょう(苦笑)

ラストで泣き崩れる親子とか言ったらアメリカ側から見直さないといけませんが・・


いろいろな視点で見てほしい。

そう製作側が考えていたのかもしれませんが、

それにしてもまとまりがないので、

ただ単に、

ひとつの国の裏には大きなアメリカという国の力があり、

世界はアメリカという悪で回っているけれど、

それが実は平和なんだという事実の怖さ。

そんなわかりやすいことは誰でも知ってますよ・・

ここはもっと上映時間を長くするかいらない部分は説明だけにして短くする。

そうしなければ中国とかの立場はわからない。

アメリカ側中心中東もたくさん出てきたので面白かったけど、

中国側も書いてほしかったな。

説明程度でもいいからアジアのこととしてね。

弁護士側が全くわからず、

シリアとC.I.Aだけ中心で見ていましたので・・

地獄の門

地獄の門  <未>1980 イタリア


PAURA NELLA CITTA DEI MORTI VIVENTI
TWILLIGHT OF THE DEAD
THE GATES OF HELL [米]
CITY OF THE LIVING DEAD [英]
FRAYEURS [仏]
地獄の門/オリジナル完全版(ビデオ)


ビデオメーカー
地獄の門

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: ルチオ・フルチ
製作: ファブリッツィオ・デ・アンジェリス
脚本: ルチオ・フルチ
ダルダーノ・サケッティ
撮影: セルジオ・サルヴァティ
特殊メイク: ジノ・デ・ロッシ
音楽: ファビオ・フリッツィ
 
出演: クリストファー・ジョージ
カトリオーナ・マッコール
ジャネット・アグレン
カルロ・デ・メイヨ
アントネッラ・インテルレンギ
ダニエラ・ドリア
ミケーレ・ソアヴィ
ルチアーノ・ロッシ

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 神父の自殺という背徳行為によって、呪われた地ダンウィッチでは“地獄の門”が開かれようとしていた。
事件を知った記者と女霊媒師は彼の地へ赴くが……。
美女の口から吐き出される内臓、頭骸を貫通する電動ドリル、暴風雨のごとく降り注ぐ蛆虫、納骨所で蠢く死者の群れと、これでもかといわんばかりにひたすら繰り広げられるショック・シーン。
「ビヨンド」と同じく“地獄門の決壊”がテーマとなっているが、ストーリーは二の次、見せ物小屋的展開に終始するそのサービス精神ぶりにおいてL・フルチの諸作の中では評価は高い。
“イタリアン・フィルム・コレクション”と銘打たれ、オリジナル完全版が特別に劇場公開(配給マウントライト)された事がある。


★★★★★★☆☆☆☆
ドクロ ホラーそれもスプラッター&B級ホラー好きにはこたえられない、
おなかいっぱいになれる作品(爆)
サンゲリアで有名なフルチ監督の微笑ましいグロ作品。
なんたって常人には考え付かない鮫とゾンビの海中での格闘をザンゲリアで表現し!
この作品ではそうですね・・比べられるものといえば、ロード・オブ・ザ・リングの監督の、
例のあの作品!くらいか。
・・ピーター・ジャクソンのプレミアもの!!
ジェネオン エンタテインメント
ブレインデッド
あ、でもこちらのほうがまとまりはあってまだ見やすいです。
イタリアン・ホラーらしくおどろおどろしさやグロさは当たり前なのですが、
意外にも(苦笑)むりやりながらにもストーリーは面白いし、
何よりもB級ホラーのこっけいさと抱き合わせにちょっとした怖さも楽しめる。
そういう点では死霊のはらわたと比べるほうが正しいのかもしれないけれど、
あちらは芸術的な怖さにまでカメラワークを駆使しているので・・

この作品に興味を持ち観ようと思った方は注意。
食べ物(特にパスタ等のイタリア料理)を食べながら観るには勇気が必要。

サンゲリアも観てね(爆)



ところで地獄の門という邦題はどうにかならないものか・・

米題とおんなじようだけれども。

上映時間は短くすごくせわしくて飽きることはありません。

そのわりに意味不明な人物が時間を取ります。

ビニール人形と戯れる変態野郎が顔面蒼白で墓地をうろつくので、

こいつはゾンビだと勘違い(苦笑)

しかもこいつは本題とは無関係に普通の人間に??

頭をドリルで貫通されます(こいつの意味は何なんだ)

普通に怖かったのは埋められた棺おけに生き埋めにされる女。

詳しくこの作品覚えてはいないので埋められたのがゾンビか人間か未確認ですが、

閉所恐怖症の私はMRIには入りたくないと想像しました・・

こういう怖さはうまい。

死者が生き返ったり人間が殺される様子は映画だと割り切ると観えるけど・・

あとは笑う笑う。

とにかく後半になると首吊り神父がこれでもかと出てくる(爆)

俺の死体を見ろ~といった具合です。

そして洞窟好きな私もうれしい墓地の地下探検。

もうこれはお化け屋敷。

怖いというよりおかしい。

首も話も飛ぶからまとまらないかと思えば・・

しっかりエンディングは???と巻き戻し確認したくなるオチ。


たぶん・・あのオチは、

生還したけど怖くて、

動くものに拒否反応を起こしたのではと取りました。

まあよくあるオチなんですがこれはいける。

グロさえなければ(グロはいや)大変面白いので、

USJの偽体感アトラクションにもしあれば乗る・・と思うくらい。

イタリアン・ホラー・・ある意味香港映画のように原色で意味不明なところが好き。

悪魔の手毬唄

悪魔の手毬唄 1977 日本



悪魔の手毬唄

¥4,320


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: 市川崑
製作: 田中収
市川崑
企画: 角川春樹事務所
原作: 横溝正史
脚本: 久里子亭
撮影: 長谷川清
美術: 村木忍
衣装: 藤崎捷恵
編集: 小川信夫
長田千鶴子
編曲指揮: 田辺信一
音楽: 村井邦彦
演奏: 東宝スタジオ・オーケストラ
特殊美術: 安丸信行
 
出演: 石坂浩二 金田一耕助
岸恵子 青池リカ
若山富三郎 磯川警部
仁科明子 別所千恵
北公次 青池歌名雄
永島暎子 青池里子
渡辺美佐子 別所春江
草笛光子 由良敦子
頭師孝雄 由良敏郎
高橋洋子 由良泰子
原ひさ子 由良五百子
川口節子 由良栄子
辰巳柳太郎 仁礼嘉平
大羽五朗 仁礼直太
潮哲也 仁礼流次
加藤武 立花捜査主任
中村伸郎 多々良放庵
大滝秀治 権堂医師
三木のり平 野呂十兵衛
山岡久乃 井筒いと
林美智子 お幹
白石加代子 司咲枝
岡本信人 中村巡査
常田富士男 辰蔵
小林昭二 日下部是哉
辻萬長 野津刑事
大和田獏 五郎
永野裕紀子 仁礼文子
富田恵子 仁礼路子
木島幸 中村巡査の妻
湯沢勉 作業服の男
原田力 村役場の男
日笠潤一 鑑識員
松田春翠 活弁の声


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 文明社会から隔離され、古い因習がいまも力を持つ鬼首村(オニコベムラ)。
村に伝わる手毬唄。その歌詞に見立てた殺人事件が発生する。事件解決を依頼された金田一耕助。
やがて、事件の背後に村を二分する二大勢力、由良家と仁礼家の存在が浮かび上がってくる。
金田一は真犯人を見つけ出すため、失われた手毬唄の秘密を追うが……。
石坂浩二の金田一耕助シリーズ第二弾。


★★★★★☆☆☆☆☆
ナゾの人 これで金田一シリーズ3作目を見ますが、
犬神家、八つ墓村ときて・・もう飽きてきてしまった(苦笑)
ミステリー界の007(爆)
書こうとしている世界は変わらないしパターンも同じ・・
しかも八つ墓村と比べると全く怖くない。
犬神家と比べると向こうが格が上・・
犬神家のときも感じたのですがやはり私は探偵ものが苦手。
「ダヴィンチ・コード」のように殺し方の美を見せ、
探偵が推理するも的外れで見てて歯がゆい。
「セブン」とかは好きなんですが・・
犯人がね、ちいさいちいさい。
だからどこにでもありえる恐怖かもしれないけれど、
生活感あふれすぎ。
八つ墓村は都会の野心が過疎地でと娯楽があったけれど。
こう家族愛や血の執念のワンパターンが続くと、
田舎には住みたくはないなぁ・・
と、私が映画=田舎の郷愁映画が好きという図式が、
田舎は嫌だ近所付き合いは嫌だとなる。
もしかしたらそこを突いているのかもしれませんね。
横溝作品の本質はそれだけ田舎の狭さやくどいくらいの情を描き、
それは今の時代には果たして不必要だろうかということを・・

その田舎の象徴である数え歌やお祭りや昔話。
それらを伝えてきたのはお年寄りであり、
今の核家族化が進む時代にはどうでもいいこと。
ただ・・そのどうでもいいことと幼少に触れ合っていたか?
それこそ私の好きな郷愁がそれです。
こういった描写は好きですが、
やはり売り物はといえば親戚一同が集まり相続争いや、
ややこしい人間関係や村独特のよそ者への差別意識・・
こういうのは娯楽としてあまり見たくはないですねぇ・・

特にこの作品のラストは救いようがない
その暗さは哲学的な洋画の暗さとは違い、
邦画独特の味わいがある。
そこが受け入れられるかどうかですね。
親の愛情はシリーズどの作品でも伝わりますが、
束縛愛に近いものがありやはり田舎は嫌だと思ってしまう。
横溝作品で田舎に郷愁を感じさせてくれる作品・・
いまのところ八つ墓村かなぁ・・
なぜって?
歴史が好きだから。
冒険ものが好きだから。
まず、行ってみたいと思えるからかな(苦笑)

フレイルティー/妄執

フレイルティー/妄執 2001

FRAILTY


禁断のラスト!
覗くとあなたの震えは
止まらない!!

フレイルティー -妄執-スペシャル・コメンタリー・エディション
¥1,380
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: ビル・パクストン
製作: デヴィッド・ブロッカー
デヴィッド・カーシュナー
コーリー・シエネガ
製作総指揮: トム・ハッカビー
カレン・ループ
トム・オーテンバーグ
マイケル・パセオネック
脚本: ブレント・ハンレイ
撮影: ビル・バトラー
編集: アーノルド・グラスマン
音楽: ブライアン・タイラー
 
出演: マシュー・マコノヒー フェントン・ミークス
ビル・パクストン 父
パワーズ・ブース ウェズリー・ドイル捜査官
マット・オリアリー フェントンの子供時代
ジェレミー・サンプター アダム・ミークス
ルーク・アスキュー
ミッシー・クライダー
ダーク・チートウッド
グレッグ・セラーノ


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ツイスター」「シンプル・プラン」の俳優ビル・パクストンが初めてメガホンをとったサスペンス・ホラー。

低予算で製作され、目に見えない心理的な恐怖を描いた本作は、2001年にアメリカの小さな映画祭に出品されて評判となり、やがて大物映画監督たちの賞賛も集めて次第に公開規模を拡大していった。
 米テキサス州ダラスのFBI司令部。捜査官ドイルは、全米を震撼させているテキサスの連続殺人事件を担当していた。

殺人鬼は必ず“神の手(ゴッド・ハンド)”という謎の文字を現場に残している。

だが、ドイルらFBIは依然として犯人を特定出来ず、頭を悩ませていた。

ある嵐の夜、そんな彼らのもとへ、フェントンと名乗る男が訪ねてくる。

男は、犯人は弟アダムで、数々の殺人を犯した後に自殺を遂げたと告げる。

そして、弟にはある理由があったと付け加え、彼ら兄弟の少年時代まで遡るその恐ろしい物語を語り始めるのだった…。
 母親が早くに亡くなり、心優しく頼もしい父親と2人の兄弟――自我の確立しつつある兄と未だ父親の価値観が世界の全てである幼く無垢な弟――だけで暮らす一家における、“父と子”“兄と弟”という関係性にサスペンスを見出した視点は秀逸。



★★★★★★☆☆☆☆

ドクロ 微妙かなぁ・・


パッケージにはすごい宣伝文句がありそれを読んで思わず借りました。

スティーブン・キングが「シャイニングを超えた」と言い、

サム・ライミが大絶賛しているのです。

確かによくできた脚本ですし俳優の演技もいい。

けれど・・なぜか私にはそんなに伝わらなかった。

なぜだろうか??

全体的にヒッチコック風の演出で、

とても丁寧に作られてあります。

たぶん映画通の方が見ればうれしいかも・・

でも私にはちょっと古く親切すぎるように思えた。


ホラーは流血しなきゃ(苦笑)

おお・・R指定がかかっているというのに描写は抑えてる。

どちらかというと上品すぎかも。

ある意味私のホラー好きは、

見えるから怖くはない見世物という映像が多いのです。

見えないものを想像して怖がらせる日本のホラーは大の苦手。

イタリアのホラーのような色でびびらせるホラーが好き。

この作品は精神的に追い詰めるたぐいの、

ホラーというよりもオカルト・サスペンスです。

オカルトであり超能力サイコなので、

そのあたりの派手なびびらす描写がもっとあれば娯楽的に楽しめたかも・・

アンブレイカブル/ブルース・ウィリス
¥1,187
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サイキック・ホラーということで「アンブレイカブル」に似たところがあり、

その辺がついてゆけなかったです。

サイコとオカルト(特に魔女や悪魔系)は、

ありえない・・と頭から見てしまうのでつまらないんですよね。

この作品のうまいところは、

ありえない馬鹿な話を信じ込み行動に移した親子の物語なのですが、

ほとんどが回想劇でありその語り部が前半と後半で入れ替わります。

思い込みとすり替えという手口は、

ユージュアル・サスペクツ」と同じであり、

語る相手が刑事(FBI)という点も同じ。

この目新しくもなくなった方法はラストが全て。

なるほど、

「ユージュアル・サスペクツ」では全てが犯人の作り話であったに対し、

こちらは聞いている相手さえ逆転劇に巻き込みます

回想劇ばかりでつまらないと思った時間の積み重ねが、

最後の最後にきいてきます。

自作自演、

全てうそ、

それらではありません(苦笑)


ユージュアル・サスペクツ/スティーヴン・ボールドウィン
¥1,172
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見てない人は注意


ただ・・弱いもの(子供や女性)への虐待が正義という怖さは、

私には伝わらなかったです。

怖いというよりも嫌な感じであり、

それをも正当化しさわやかに終わるのがどうも苦手で・・

やっぱりこの手のお話のオチは、

うまくだまされたなぁ~と苦笑いできるか、

後味が悪く何者かが襲ってきそう・・というのがいい。

勧善懲悪をあまり好きではないのかもしれません。

勧善懲悪の勘違いですが・・

上の子供がすごく演技がよかったので、

子供のまま終わるのも(回想として)よいかもしれない。

イル・ポスティーノ

イル・ポスティーノ  1994 イタリア/フランス

IL POSTINO
LE FACTEUR[仏]

THE POSTMAN[米]



イル ポスティーノ (ディズニー ライブアクション タイトル)
¥1,286


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

監督: マイケル・ラドフォード
製作: マリオ・チェッキ・ゴーリ
ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ
ガエタノ・ダニエレ
原作: アントニオ・スカルメタ
脚本: アンナ・パヴィニャーノ
マイケル・ラドフォード
フリオ・スカルペッリ
ジャコモ・スカルペッリ
マッシモ・トロイージ
撮影: フランコ・ディ・ジャコモ
音楽: ルイス・エンリケス・バカロフ
 
出演: マッシモ・トロイージ
フィリップ・ノワレ
マリア・グラツィア・クチノッタ
リンダ・モレッティ
アンナ・ボナルート

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 実在した詩人パブロ・ネルーダに材を取ったA・スカルメタの原作を基に、イタリアの喜劇俳優M・トロイージが病に蝕まれた体で映画化にこぎつけた執念の作品。
1950年代のイタリアを舞台に、ひとりの素朴な青年の成長をあたたかい眼差しで描き出している。
 ナポリの沖合いに浮かぶ小さな島。
そこへチリからイタリアに亡命してきた詩人パブロ・ネルーダが滞在する事になった。
老いた父と暮らし、漁師になるのを望んでいない青年マリオは、世界中から送られてくるパブロへの郵便を届けるためだけの配達人の職につく。
配達を続ける内に、年の差も越えて次第に友情を育んでいく二人。
詩の素晴らしさを知ったマリオは、詩の隠喩についても教わる。
やがてマリオは食堂で働くベアトリーチェという娘に一目惚れし、彼女に詩を送ろうとするのだが……。
 異邦人との触れ合いによって、自分の故郷をもう一度見つめ直す主人公の姿が静かな感動を呼ぶ。
逮捕命令が撤回されてパブロはやがて母国へと帰っていくが、それ以降の展開こそが重要な物語だ。
パブロに届けようとマリオが島の様々な音を集めていくシーンなど一番の見せ場と言ってもいいだろう(もちろん美しい撮影と情緒豊かな音楽も忘れてはならない)。
友を、女を、故郷を愛する事の素晴らしさが淡々とした演出の根底に確かに息づいている。
P・ノワレの笑顔とそれに負けないくらいのM・トロイージの表情。
惜しくも彼はこの作品のクランクアップ直後に他界してしまったが、ここにその足跡はしかと刻まれた。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

アカデミー賞
音楽賞(オリジナルドラマ) ルイス・エンリケス・バカロフ
英国アカデミー賞
監督賞(デヴィッド・リーン賞) マイケル・ラドフォード
外国語映画賞
作曲賞(アンソニー・アスクィス映画音楽賞) ルイス・エンリケス・バカロフ
放送映画批評家協会賞
外国語映画賞
日本アカデミー賞
外国作品賞


★★★★★★★★☆☆

波 いいお話です・・

もうね、

はまる人は号泣でだめな人はなんのことやらですよ。

私は自分でもだるい文芸物がはまるときがあるなぁと思うのですが(爆)

セリフが少なかろうが歌うような言い回しであろうが風景と音楽の作品であろうが、

ニュー・シネマ・パラダイス」や「リバーランズ・スルーイット」の世界がいとおしい・・

「砂の器」や「天城越え」が泣ける・・

この作品は見てる途中からもうウルウルきてて、

ラスト付近では号泣でした(苦笑)

郷愁、帰らないもの、変わらないもの、どうにもならないもの・・

私は感動した作品は何度見ても同じ場面付近でまた感動できる、

大変お得なパブロフの犬の癖を持っております。

まあそれが当てはまらず泣かされた作品は「アルマゲドン」「ライフ・イズ・ビューティフル」あたりか。

あそこらはもうあざとさがわかっているからたぶんもう泣けない(爆)

けれどもこの作品は大事にしたい大事に味わいたい何か、

「ニュー・シネマ・パラダイス」や「リバーランズ・スルーイット」と同じだるい味わいがあるのです。

わかる人はわかってもらえると思う例えかな?


メモニュー・シネマ・パラダイス  この映写技師のじいちゃんが詩人と同じ俳優なのですよ。

ニュー・シネマ・パラダイス 完全オリジナル版 スペシャル・エディション/フィリップ・ノワレ
¥1,953
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メモリバー・ランズ・スルー・イット  映像がきれい・・


リバー・ランズ・スルー・イット/ブラッド・ピット
¥2,120
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本当は最初は7点にしようかなとも思ったのです。

主演俳優がこのあと他界したとはいっても、

あまりに濃い(苦笑)のでちょっとと・・

でもそれからもじんわりときいてきて、

やっぱりこの作品はそんなくだらない(顔がどうのとか)理由で採点できない、

きちんと素直に認めようと残そうと思ったわけです。

しかし・・抑揚が少ないので満点にはできないのが残念ですが・・


まずお話がいいんですね。

そこに住んでいない私たちにとってはその田舎の島はとても魅力的です。

しかし出だしは生活感溢れこの主人公は美しい島に居ながらも空しいようです。

いわばイタリアの過疎地なんですが、

住んでいる人にはわからない美しさってあると思います。

チリから亡命してきた詩人はそれをわかっていた。

最初はくすぐったく感じるほど流れるような詩(隠喩)の世界。

地元の漁師のような(爆)素朴すぎる主人公との違和感。

この違和感とつたない淡々とした恋愛。

えっ、何でこの兄ちゃんが主役なの?

郵便屋さんをもっと若い青年にすればいいのに・・

とか思ったのですが・・

その違和感こそこの映画の核なんです。

美しい悲恋ものとして描かれているわけではなく、

本当にこの作品の言いたかったこと・・


それはいろんな受け取り方があるとは思います。

過疎地に現れた世界的に有名な詩人。

今まで逃げたかった現実の暮らしが、

夢のような素敵な島に住んでいたのだと知る。

それは教えてくれた人が去った後自分で読んだ詩。

いわばそこにいての自分探しの旅だったわけです。


人間は文芸に触れ言葉を覚え政治を知る・・

詩人に出会っていなければ普通に漁師の息子であった郵便屋さん。

しかしどちらが幸せかと聞かれればそれは誰もわからない。

詩人から便りがなく自分からお礼の言葉を送ろうとする。

それは心からの詩

今まで気づかなかった自分の生まれた島の美しい音、

教会の鐘の音や海の波音や心音・・

疲れる汚いと言って嫌ってた父の漁師という仕事の網の音・・

この詩は詩人に向けてのものでもあり自分への感謝でもある。

この音を島民みんなで録るシーンから感動しました。


そしてそのあとの展開はまるで「リバーランズ・スルーイット」です。

人生とは?生きた意味とは?出会った意味は?

・・なんかコメント文書いていても思い出してまた感動してきました(爆)

一瞬一瞬を切り取って空にばら撒いたようなエンディングの作品が好き。

言葉の美しさに酔い言葉に目覚めそして・・

郵便屋さんが初めて書いた詩、

詩人が送った詩・・

この詩人というのは実在の人です。

パブロ・ネルーダの詩をぜひ読んでみたくなりました。

私は共産主義でもないし政治活動をしませんから(爆)大丈夫・・



ネルーダ詩集/パブロ ネルーダ
¥1,223
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NERO ザ・ダーク・エンペラー?

NERO ザ・ダーク・エンペラー  2004 イタリア/スペイン/イギリス

IMPERIUM: NERONE
IMPERIUM: NERO
哀しみの暴君ネロ(NHKBSハイビジョン)

NERO ザ ダーク エンペラー
¥4,320


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: ポール・マーカス
製作: ルカ・ベルナベイ
ピート・マッギー
製作総指揮: マイケル・コーワン
ピエトロ・ディオーニ
ジェイソン・ピエット
サルヴァトーレ・モレロ
脚本: ポール・ビリング
フランチェスコ・コンタルド
撮影: ジョヴァンニ・ガラッソ
音楽: アンドレア・グエラ
 
出演: ハンス・マシソン ネロ
ラウラ・モランテ アグリッピーナ(ネロの母)
サイモン・アンドリュー ポリデュス
ソニア・アキーノ メッサリーナ
フィリップ・カロワ アポローニアス
リーケ・シュミット アクテ
マティアス・ハービッヒ セネカ
マッシモ・ダッポルト クラウディウス
ジョン・シム カリギュラ



★★★★★★☆☆☆☆

メモ特に知っている俳優が出ているわけでもなく、

作品自体も有名ではありません。

ローマ帝国初期が大好き(苦笑)なのと、

本で読むのも面倒なのでここらは見ていない作品は全て見たい。

役に立たない自己満足の知識の世界を満たしてはくれます。

ネロ自体はまだ有名なほうではなかろうか?

皇帝の地位を目の前にして暗殺されたシーザー

その養子であり初の皇帝がアウグストゥス

そして次々カリグラ

そのまた次代のネロと、

有名どころは映画にされています(テレビ映画含む)

カリギュラはポルノ映画でもありますから(出演陣はすごく豪華でも)

興味のある方はその点には目を瞑って(苦笑)見てみてください。

主演が「時計仕掛けのオレンジ」の俳優です・・


まあ日本のお家騒動は好きではないけれども、

これがローマ帝国の話になると面白いのです。

映画によってはスペクタクルな演出がされていたり、

なにしろ衣装や建物が豪華ですし、

登場人物も世界的に有名な(当たり前だ)人ばかりだから・・

今回見たネロの章では気になったのが哲学者セネカです。

ネロの家庭教師として登場し帝王学を学ばせるのですが、

なかなか特徴ある役どころで、

セネカを主役で映画を作っても面白いのではなかろうか・・

ネロはこの映画では人情味ある悪者ではない役で、

そこは意外とそういう描き方もありかなと思ったのですが、

ちょっとしんみりしちゃって抑揚がないです。

戦闘シーンがないのは残念ですし、

人物自体が描ける人物なのでもっと本気で作れば(お金をかけて)

誰もが見られる大作となったかもしれません。

しんみりしたというのは・・

後世で暴君だの悪く言われても、

その歴史のさなかにあってただ個人の野心のためだけにというのではなく、

よい国を作りたいとどんな人も願っていたのではないのでしょうか。

その方法が間違っていたというのは後でわかること・・

ネロがなぜそうしたのかそうなったのか、

同情する境遇や確執を家族ドラマのように描いたことが、

逆に人間味溢れる作品となっています。


カリギュラ コンプリートBOX〈ヘア解禁版〉
¥6,120

これを見ておけば暴君ネロの映画化が非常に地味で良心的だとわかる・・


ビックリマークカリギュラ  とにかく残虐でエロい映画(爆)

歴史が好きというだけで見るにはちょっと勇気がいります。

あまりに有名なので恥ずかしいからネットで借りました。

本当はピーター・オトゥールが見たかったんですがね・・

ローマンエンパイア
¥4,320


ビックリマークローマン・エンパイア

これもピーター・オトゥールが出ていますが真面目すぎてつまらないかな。

時間が短いしアウグストゥス自体も地味ということで・・

しかしこれを見ておけばネロが末裔なので血筋もよくわかる。


シネマクラシック ジュリアス・シーザー
¥500
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ビックリマークジュリアス・シーザー

皇帝にはなりえなかったけれども、

おそらくは日本人いや世界中で一番愛され知られているその人、

カエサル、シーザーの有名すぎるシェイクスピアのお話。

シーザーは野望半ばにして暗殺ということからも信長がだぶります。

ビデオしかなかったのにDVDがいまやお安くなっているのですねぇ・・

クレオパトラ/エリザベス・テイラー
¥2,850
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ビックリマーククレオパトラ

これはもう超有名。

映画の豪華さといえばこれ、

おそらく一番お金がかかった映画として残る作品。

メロドラマみたいな作りが好きではないんですが、

とにかく豪華だし大きな画面で見たい作品。


八つ墓村

八つ墓村  1977 日本


八つ墓村 (期間限定)
¥2,000


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


監督: 野村芳太郎
製作: 野村芳太郎
杉崎重美
織田明
原作: 横溝正史
脚本: 橋本忍
撮影: 川又昂
特殊メイク: マキシーン・坂田
美術: 森田郷平
衣装: 鈴木康之
原島正男
松竹衣装
編集: 太田和夫
振付: 花柳滝蔵
音楽: 芥川也寸志
サントラ盤: ビクターレコード
殺陣: 菊地剣友会
 
出演: 渥美清 金田一耕助
萩原健一 寺田辰弥
小川真由美 森美也子
花沢徳衛 磯川警部
山崎努 多治見要蔵・久弥
山本陽子 多治見春代
市原悦子 多治見小竹
山口仁奈子 多治見小梅
中野良子 井川鶴子
加藤嘉 井川丑松
井川比佐志 井川勘治
綿引洪 矢島刑事
下絛アトム 新井巡査
夏木勲 尼子義孝
田中邦衛 落武者A
稲葉義男 落武者B
橋本功 庄左衛門
大滝秀治 諏訪弁護士
夏純子 美也子の妹・和江
藤岡琢也 久野医師
下絛正巳 工藤校長
山谷初男 馬喰吉蔵
浜田寅彦 吉岡太一郎
浜村純 森荘吉
吉岡秀隆


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



★★★★★★★★★☆☆

メラメラめちゃツボにはまりました(爆)

ホラーサスペンス大好き、スペクタクル冒険もの大好きなので・・

金田一が寅さん(男はつらいよは未見)だったので不安でしたが、

この作品は誰が金田一になっても違和感がないと思う。

ただしその後のリメイクで豊川悦司が酷評されているところをみると・・

渥美清の金田一も悪くはないと感じる。


まずは加藤嘉(お気に入りな俳優)が冒頭からいきなり毒殺され消える。

萩原健一は実は好きな俳優なんですが作品自体見たことがない。

私の中では誰がなんと言ってもショーケンは落合監督でありウィル・スミスなのですが(爆)

ひょうひょうとした雰囲気が好きですね。

石坂浩二の金田一と匹敵するのはショーケンもいいかも・・

まあショーケンは今回は金田一ではなく主役相続人です。

犯人も筋も特にひねりがなくわかりやすいのですが、

犬神家より私の感性に合ったということはやはりホラー色が強いから。

現代社会から閉ざされた山中の村はまるで、

ヴィレッジ」そのものです。

この作品は洋画で自ら過疎近親社会を築く社会派ファンタジーでした。


回想の中で本当にあった事件(津山連続殺人事件)をモデルにした、

山崎務の気狂い演技が不思議と美しい・・

桜の散る中を蝋燭を頭に着け猟銃や刀を振りながら追ってくる。

殺戮の間合いは「シンドラーのリスト」を見ているようで、

映画ならではの娯楽だと感心しました。

落ち武者の首が笑うシーンはちょっとやりすぎで笑ってしまうけど、

全体に感じる哀しい人間のエゴや過疎の心理など、

今の映画には描けないであろう味があります。

役者が違うのか監督が違うのかとにかく昔の邦画はよい。

気がつけば監督は「砂の器」の野村芳太郎・・


後半に洞窟が出てきますが、

私は洞窟が好きで映画に洞窟が出てくるとたまらない

インディジョーンズの魔宮の伝説が一番好きなんですが、

洞窟の中が暗くてよくわからないとかはどうでもいい。

見にくいからこそ洞窟なんですよ。

この洞窟映像は日本各地の洞窟をうまくつなぎ合わせて編集されていて、

私の行ったことがある秋吉洞や龍河洞も出てくる・・

高知の龍河洞は特にお勧めです。

あんなところであの人に追いかけられたら・・

今度行ったときにそれを思い出してみよう(苦笑)

そのシーンはたいして怖くはなかったですね。

特殊メイクが中国ゾンビ映画のようでコミカルでしたから。

それよりも何よりも怖かったのがエンデイング!


見た人はわかりますよね?

あれ、大ウケしてしまった。

怖いしおかしすぎる。

あそこらの演出がサービス精神満点で、

まるでアトラクション体験したかのような爽快感がある。

その後に金田一が語る血の因縁、

あれは復讐の爽快感のあとの空しさを感じ、

この因縁は現代までも続いている消えない歴史となる。

そして飛行場の風景にあれはあの村は何だったのだろうかと・・

まさしく現代に語り継がれる哀しい御伽噺

こんなホラーサスペンスにもどこかノスタルジーを感じてしまいました。


ヴィレッジ/ホアキン・フェニックス
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ビックリマークヴィレッジ

見てない人はぜひ!

予想できても哀しくこっけいであるラストは後をひきます。


津山三十人殺し―日本犯罪史上空前の惨劇/筑波 昭
¥620
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「八つ墓村」は実在する/蜂巣 敦
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